カトマンズは朝は雲が多く、期待していたヒマラヤ山脈は肉眼では見ることができなかった。
昨夜は計画停電の影響で風呂のお湯が出なかったため、シャワーを断念していたが朝になって気持ち程度のお湯が出た。
今日は珍しくやることが決まっている。昨晩、このホテルのオーナーの妹夫妻に誘われて、二人が働いている日本語学校で臨時講師をして欲しいというオファーがあったのだ。まぁ、暇だしいいよ。ってな軽いノリで引き受けてしまった。
10時半くらいに学校の生徒がバイクで迎えに来てくれていた。15分程度走っただろうか、バイクは小綺麗なピンクの建物の敷地内に停まった。
教室には男ばかり20人ほどが座っており、
「こんにちは」
と私が挨拶をすると、みんな一斉に立ち上がり会釈をしてくれた。どうもそういう教育をされている様だ。その会釈がペコペコしているので、まるで誰かに謝っているような感じでちょっと可笑しかった。
彼らは日本で農業を研修生として学ぶために日本語を勉強しているのだそうだ。
なので、そういった面接時のロールプレイを通して日本語を学んでいるらしい。で、その面接官役として私が呼ばれたらしい。
基本は、部屋にはいるところから、着席までの挨拶や受け答え、面接の質疑応答などである。
「農業で何を作りたいですか?」
という質問には決まって、ジャガイモと答えてくる。
これまたセオリーの様だ。
フリートークでは、やはり震災の話がメインで鉾田市の話なども出て来た。みんな勉強してるなぁ。
一段落すると、もう一組の教室も参加して欲しいといわれた。なんと女性のクラスだ。ラッキー。
年齢層は三十歳前後のようだ。ネパールの人の名前は聞き取りにくいので、ホワイトボードに書いて貰ったら、小さい平仮名でペン先がプルプル振るえて書いていた。すっごい緊張している様だ。
ネパールの人ってインド人みたいにしゃべくり倒してくるという先入観があったのだが、この学校の人たちは非常に控えめでシャイだった。ちょっとネパールの見方が変わった。
女性のクラスの中に5年ほど三重県で暮らしたことがある方がいらっしゃったのだが、一番お綺麗だった。日本語も流暢で素晴らしい。でも、話しかけられるのは近くに座っている、ちょっと所帯持ちっぽいオバサマ方ばかり。やっぱりネパールでもそっち系に人気が出ちゃうのかねぇ。
なんにしても、こういった経験は中々できない。
ネパールまできて観光もせずになにしてんだ?と思われるかもしれないが、こういったハプニングがあるのが一人旅のいいところだ。観光よりもこっちのほうが刺激的だったりする。
ホテルの皆さんには感謝である。